第2回アメリカ留学モニターに当選された西谷星来さんは、都内の芸術系の高校に通う16才。歳は若いけど、今回の応募者のなかでもその大人びた態度は一際目立っていました。そんな彼女が、04年3月25日から4月8日までの約2週間、アメリカのノースカロライナ州アッシュビルで語学留学を体験。アメリカでの生活はどうだったのか、どんな人と出会い、自分のなかでどんな変化がおきたのか……今回のレポートで余すことなく語ってくれます! 
 
今回私を迎えて下さったゲイリー・モアーさん、パムさん夫妻は退職するまで9年間沖縄の米軍基地で勤めていたそうで、室内には日本の置物や食器がたくさんあり、部屋の片隅には沖縄空間とも呼べるエリアまでありました。日本の文化に強い関心を持っておられたので、私が描いた日本画をプレゼントしたり、茶道を披露したときは大変喜んでくださいました。私の話しもよく聞いてくれて、歴史の話で盛り上がったり、アメリカ人がなぜブッシュ大統領を支持するかという話しも聞かせてくれました。

 家が山の麓にあったので学校へは毎日車で送り迎えをして頂きました。アッシュビルは芸術の街でギャラリーや美術館が沢山あります。私が学校で美術を勉強しており、ミュージカルにも興味がある事を予め伝えてあったので休日や学校が終わった後は毎日いろいろなところへ連れて行ってもらいました。

【ジェシー】
 私が会えたティーンエイジャーは教会に来ていた人たちのみなので何とも…。アメリカの子供達は実年齢よりもずっと年上に見えるので、中身もそうなのだと思っていました。ジェシーも13歳とは思えないほどファッショナブルで大人っぽく見えましたが、かくれんぼをやりたがったり、日本の手遊びにとても興味を示して何度も練習したりと日本人の13歳よりも幼い部分もありました。
 ジェシーは歌がうまく、将来はシンガーかメイキャップ・アーティストなりたいと言っていました。感性が豊かでいろいろなものに感動している様子が、少し羨ましかったです。別れ際には泣いてくれました。ジェシーとは今もメールで連絡を取り合っています。
【教会】
 モアー夫妻はクリスチャンなので毎週日曜日には教会へ行きました。中学生から高校生くらいの人たちはお祈りの前にまず別室でイースターで演じる劇の練習をしていました。私はそこでモアーさんから紹介してもらった13歳の少女ジェシーと仲良くなりました。 教会は厳粛な所だと思っていましたが、賛美歌はポップス風で手拍子を交えて歌い、カンフーを披露したり、友達のために歌を歌ったり、クイズをやったりと明るく和気あいあいとした雰囲気でした。私もジェシーと日本の手遊びである『せっ、せっ、せーの、よい、よい、よい』を披露しました。 しかし、神父さんの話に涙を流すなど信仰心の強さには圧倒されるものがありました。帰り際に神父さんから「あなたもクリスチャンにならないか」というお誘いを受けて困った事もありました。
【スポーツジム"Curve"】
 パムさんが運動不足を補うために週3回通っているスポーツジムです。運動マシーンが8台置いてあり音楽に合わせて運動します。私が一番驚いたのはキャンドルパーティーの主催者を含む参加者のお婆さん(?)がインストラクターとして働いていた事です。ゲイリーさんも料理をしたり野菜を育てたりしていました。アメリカ人は年をとっても何かしら生き甲斐を見つけて人生を楽しんでいると思います。
【美術館・ギャラリー】
 山から車で少し行くとギャラリーがたくさんあるダウンタウンに着きます。学校が休みの土曜日に一日かけて案内してもらいました。私の英会話練習のためにジェシーも一緒でした。
 小さくて古いギャラリーや店が道沿いにびっしり並んでいる様子はヨーロッパの下町に似ていました。絵画や彫刻だけでなく、宝石や陶器、家具などのインテリア関係のギャラリーもあります。アメリカでは室内環境にかなり気を使う人が多いのかもしれません。モアー夫妻の家も家具や置物で奇麗に飾られていました。ギャラリーにある家具や置物は目玉が飛び出るくらい値段が高いのですが、近くにいたおば様が値段について店員と相談しているのを見かけたのでそれなりに需要もあるようです。
 ゆっくり見ている時間が無かったのですが、一番印象に残っているのは家具のギャラリーにあった絵です。木の板に絵の具(漆のようにも見えました)で女性が描かれ、背景には金箔が貼ってありました。女性の虚ろな表情と木の板の感じが気に入りました。さすがに山に囲まれた街なので木を使った作品がとても良かったです。家具はもちろん、木目を生かした彫刻作品も素敵でした。ギャラリーにあった作品の多くは現代アートの部類に入るのかもしれませんが、オーソドックスさもあり、どんな人でも楽しめるものが多かったです。
 今回は美術館と私がピックアップした5つのギャラリーしか回る事ができませんでしたが、ダウンタウンには少なくともあと20軒はギャラリーがあります。ぜひまた来て、今度はゆっくり見たいと思います。
【ABTech CollegeのESL授業】
 初日にレベル分けの簡単な会話と筆記のテストがあり、私は上から二番目の Advance classに入りました。高校生は私一人です。妊婦さんから仕事をしている人まで実にいろいろな人たちがいました。皆かなりのスピーキング能力を持っていて、とにかくよく話します。ブラジルやウクライナから移住してきた人たちで、話せるし聞き取れるが文法はできないといった感じでした。クラスの先生はディスカッションを中心にスピーキングに重きを置いた授業をするので、私は文法は解りましたが、他の人の言っている事を聞き取るのに必死で(訛りもかなりきつかった)自分から発言する事があまりできませんでした。ハッタリでも、もっと積極的に話せば良かったと思います。たった、2時間半の授業なのにあれほど集中して、短く感じた授業は今までにありませんでした。終わった後はしばらく頭がボーッとしていました。
 
他人の家に2週間滞在するというのはかなり不安がありました。洗面所に髪の毛は落とさないようにとか、必ず手伝いを申し出るとかは常に心がけましたが、むしろホストの夫妻が、夜は家でビデオを見せてくれたりと私がリラックスできるようにいろいろと気を使って下さいました。ホームステイ先も当たり外れが激しく、ステイする学生が沢山居てほとんど放任される所もあるそうです。こんなにいろいろな経験をさせて下さった素晴らしいホストファミリーに出会えた私はとても幸運でした。

 今回私が留学モニターに応募したきっかけは、高校の担任の先生がインターネットでこの募集を見つけて教えてくれたからです。それまではアメリカに留学することなどまったく考えていませんでした。募集を知った時、私はちょうど自分がこれから絵を続けて行く事に迷いを感じていました。美術を勉強するために都立芸術高校に入学し1年間ひたすら描き続けてきましたが、果たして自分は本当に絵が好きなのだろうかということ。ここで少し絵から離れて違った事に打ち込んでみたいと言う気持ちも働いて、応募を決めたのです。まさか本当に当選するとは…。もともと、高校受験のときは国際関係か芸術関係どちらに進学するかで相当悩んだくらい英語は好きだったので、純粋に嬉しかったです。

 アッシュビルでは本当に沢山の芸術作品に触れました。私の迷いが解決された訳ではありません。しかし、前よりももっと英語を学ぶ意欲は強くなりました。絵以外にこれから没頭できるものを見つけたのです。絵に対する迷いには、いろいろな事をやりながら、ゆっくりと時間をかけて解決して行こうと思います。
 本当に貴重な機会を提供して下さったARCの皆様、素晴らしい経験をさせて下さったゲイリーさん、パムさん、お世話になった方々に心から感謝いたします。

 

 

 
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